役員変更登記を忘れていませんか?

ある法務局での風景です。
A氏 「会社の印鑑証明書を取りにきたのですが,受付の人に出せないと言われました。」
法務局「御社は会社を解散されています。会社の印鑑証明書は発行できません。」
A氏 「解散した覚えはありません。明日提出しなければならないので,すぐに発行してほしい。」

休眠会社等の整理作業について

会社法の規定により,株式会社の取締役の任期は,原則として選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結のときまでであり,最長で10年まで延長できます。取締役の交替や重任の場合には2週間以内にその旨の登記を申請することが義務付けられています。

長期間登記がされていない株式会社は,既に事業を廃止し,実体がない状態となっている可能性が高く,このような休眠状態の株式会社の登記を放置しておくと,商業登記制度に対する国民の信頼が損なわれることになります。

そのため,株式会社については,最後の登記をしてから12年を経過しているものについて,法務大臣の公告を行い,2か月以内に「まだ事業を廃止していない」旨の届出や役員変更等の登記の申請がない限り,みなし解散の登記をすることとされています。この作業を,「休眠会社等の整理作業」といいます。

法務大臣の公告と法務局からの通知

本日,会社法472条1項の届出に関する公告がされました。これに基づき,最後の登記をしてから12年を経過している会社に対して,管轄法務局から通知書が発送されております。通知書には,次のような記載があります。

  • 休眠会社について,平成30年10月11日付けで,法務大臣による官報公告が行われたこと
  • 「まだ事業を廃止していない」旨の届出については,通知書の用紙を使用して,管轄登記所に提出することができること

株式会社のみなし解散の登記

通知書の送付を受けた会社で,まだ営業をしている場合には,平成30年12月11日までに,「まだ事業を廃止していない」旨の届出をする必要があり,通知書を郵送するか法務局へ持参します。

平成30年12月11日までに,「まだ事業を廃止していない」旨の届出がなく,かつ,登記の申請もなかった休眠会社については,同日付けで解散したものとみなされ,登記官が職権で解散の登記をします。

登記懈怠と過料

会社の役員や本店所在地など,会社の登記簿に記載のある事項に変更があってから2週間以内に登記をしなければ,地方裁判所から代表取締役に対して,会社法違反として100万円以下の過料が命じられます。

休眠会社の整理作業に伴う通知書に基づいて,「まだ事業を廃止していない」旨の届出を行ったり,役員変更等の登記を行ったりした場合でも,裁判所から過料に処せられることがあります。

会社の登記簿を確認しましょう

冒頭の事例では,長期間にわたって役員変更の登記がされておらず,法務局からの通知にも回答しなかった結果,会社が解散したものとみなされ,解散の登記がなされたものと考えられます。会社が解散すると,営業は終了し,清算事務に移行しますので,代表取締役は退任し,その結果,代表取締役の印鑑証明書が作成されることはありません。

また,この通知書は,会社の登記簿上の本店所在地に送付されますが,会社の本店を移転した後,登記簿の本店所在地の変更登記をしていなければ,通知書が届きません。通知書が届かなかったために,回答ができなかったとしても,救済措置はありません。期日までに回答しなければ,機械的に解散登記がされてしまいます。定期的に会社の登記簿を確認していただき,役員変更や本店移転の登記が漏れているときは,速やかに手続をする必要があります。

通知書が届いてしまい,どのように処理をしてよいのかわからない場合は,司法書士にご相談いただければと存じます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください