期限付き解散決議に基づく解散登記の可否

「センセー,11月30日付で子会社を解散したいのですが,親会社の会議日程の都合で,前もって11月10日に株主総会を開いて決議したいのですけど,問題ありませんか?」

(・・・ん?そんなのできるよね。なにか問題あるか?でもわざわざ質問してきたということは,できないことがあり得るのか)

嫌な予感がしましたので,即答を避け,調査確認をしてから連絡をしますと,電話を置いた次第です。

株式会社の解散事由

会社法
(解散の事由)
第471条 株式会社は,次に掲げる事由によって解散する。
一 定款で定めた存続期間の満了
二 定款で定めた解散の事由の発生
三 株主総会の決議
四 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
五 破産手続開始の決定
六 第八百二十四条第一項又は第八百三十三条第一項の規定による解散を命ずる裁判

会社は,株主総会の決議によっていつでも解散ができます。しかし,解散日に先立って株主総会の決議をした場合に,解散日に解散の登記ができるのかという論点がありました。

法務局の見解

法務局が提供している申請書様式の中に,会社の解散登記に関して次のような注意書きがあります。

解散日を将来の日としようとする場合には,当該解散日を満了日とする存続期間の定めを設ける定款変更を決議し,その登記をする必要がありますので注意してください(その上で,当該存続期間の満了により解散したときは,2週間以内に解散の登記をすることになります。)。

どうやら,法務局としては,期限付きの解散決議に基づく解散の登記を認めていないようです。いったん,解散するとした日付を会社の存続期間としてその定めを登記してから,その日の経過をもってあらためて解散の登記を申請すべきと考えています。

法務局の運用としては,株主総会決議から解散日が2週間以内であれば,その決議をもって解散の登記申請を受理しているようです。

登記先例等の考え方

  • 株主総会の決議の効力の発生を条件または期限にかからしめることは,法律の規定,趣旨または条理に反しない限り,原則として許される(最判昭37年3月8日民集16巻3号473頁)
  • 株主総会の決議の日から3日後の日を解散日とする決議をした場合に,当該株主総会議事録を添付してなされた解散登記の申請は受理できる(昭和34年10月29日民甲2371号回答)
  • 会社の解散決議について,例えば,10月11日の株主総会において,10月15日解散する旨の条件付きの決議は可能(登記研究193-72)

反論と私の考え方

法務局は,会社が解散することを決定しているにもかかわらず,これが公示されないことが,取引の安全を図る会社法の趣旨に反することを理由に,これを消極に解しているようですが,特に合理性があるとは認められません。

なぜならば,会社は,今日明日にも突然に解散決議をすることが自由にできる以上,いずれにしても債権者にとって不意打ち解散は回避することが困難であり,取引安全の観点からは,説得力に欠けるものであります。

また,期限が2週間以内の根拠は,平成22年11月25日付の土手補佐官の事務連絡かと考えられますが,そこでは,当該株主総会決議日から解散日が2週間以内とされているものであれば,受理して差し支えないとされているだけで,3週間がダメとか2か月がダメとまでは明言されていません。

取引の安全をことさらに強調するのであれば,清算結了の登記申請の際に,解散公告をしたことを証する書面を添付させるべきであります。会社を解散しても,律儀に解散公告をしている会社の方はほとんどなく,会社法が期待するような債権者保護が十分に機能しているとは考えられません。

法務局では,解散日と清算結了日の間に2か月の期間があるか否かを機会的に検算しているのみです。

会社法
(債権者に対する公告等)
第499条 清算株式会社は,第475条各号に掲げる場合に該当することとなった後,遅滞なく,当該清算株式会社の債権者に対し,一定の期間内にその債権を申し出るべき旨を官報に公告し,かつ,知れている債権者には,各別にこれを催告しなければならない。ただし,当該期間は,二箇月を下ることができない。

2 前項の規定による公告には,当該債権者が当該期間内に申出をしないときは清算から除斥される旨を付記しなければならない。

結論をはっきりさせてほしいですね。

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