農地を売ったり,貸したりするときはご注意を

当事務所は,名古屋市港区にありますが,周辺は田園風景が広がっております。最近では,高齢化に伴い,当地でも専業農家は減る一方です。本業は会社勤めで,農地の管理は農協に委託する,もはや兼業農家とも言えない農地所有者が増加しております。

田畑や牧草地のような農地は,管理するのも処分するのも大変であります。このため,農業には新規参入が困難で,高齢化や人材不足が深刻な状況となっております。大規模に経営したり,余程のブランド化をはからなければ,農業一本で暮らしていくことが難しい状況となっているそうです。

農地の定義

農家基本台帳に記載されている土地が農地であります。登記簿の地目が田や畑となっていても,直ちに農地法の適用のある土地とは言えません。

農地法の許可の種類

許可区分 内容
3条 農地を農地のまま,名義を変えたり貸したりする
4条 農地を宅地や駐車場に転用する
5条 農地を宅地や駐車場に転用し,名義を変えたり貸したりする

農地法の許可の要件

3条許可

農地法3条の許可は,農業を営む個人が耕作をするために権利を取得する,または,農業生産法人が権利を取得する場合に,許可を受けることができます。

  • 取得する耕作地を含めて,所有する農地全部を効率よく耕作すること
  • 農作業に従事する日数が150日以上あること
  • 取得者が法人であるときは,農業生産法人であること
  • 新たに取得する農地と現在取得する農地と合わせて,2000平方メートル以上(名古屋市)耕作すること
  • 周辺の地域における農地の効率的かつ総合的な利用の確保に支障を生ずるおそれがないこと

4条許可・5条許可

農地法4条及び5条の許可は,農地を宅地や駐車場等の農地以外に転用する許可です。転用許可基準は,立地基準一般基準に区別され,農地の場所によっては転用がほとんど認められないことがあります。

立地基準
分類 内容 転用の可否
農用地区域内 農用地利用計画において定めた区域内の農地 不可
甲種農地 高性能農業機械による営農に適した農地及び土地改良事業完了後8年未満の農地 不可
第1種農地 集団的に存在する農地その他良好な営農条件を備えている農地 不可
第2種農地 市街地等に近接する区域,その他市街地化の見込まれる区域内にある農地 代替地がなければ許可
第3種農地 市街地の区域内又は市街化の傾向が著しい区域内にある農地 許可
市街化区域内の農地 市街地区域内にある農地 届出
一般基準

立地基準に適合する場合でも,次のいずれかに該当する場合は,許可されません。

  • 農地を転用して、その用途に供することが確実でない場合
  • 申請する農地の面積が、事業の目的からみて適正でない場合
  • 周辺農地の営農条件に支障を及ぼすおそれがある場合
  • 一時転用の場合,その農地が農地として利用できる状態に回復されることが確実でないとき

農業振興地域

農業振興地域とは,農業振興地域の整備に関する法律に基づき,総合的に農業の振興を図ることが相当な地域として都道府県知事が市町村ごとに指定する地域です。

名古屋市では,中川区富田地区,港区南陽地区,守山区東谷地区の3地区について,愛知県知事から農業振興地域の指定を受けています。この地域で開発をするには,農用地区域からの除外申請をして,進めることになりますが,手続きには相当の期間がかかります。長いときには,数年かかることがあります。

農地を売ったり貸したりする前に

農地は,農地法による規制があり,自由勝手に名義を変えたり,貸したり,造成して建物を建てたりすることができません。ときどき,「農地は貸すことはできるけど,売れない」とか「親戚が家を建てるなら問題ない」というような誤解をされている方がいますが,正しくはありません。

農地の契約をして,お金を払ってしまってから,許可が取れないことがわかったとしても,契約解除やお金のやり取りでトラブルになってしまいます。農地について手続きを検討する場合には,必ず地域の農業委員会や専門家に必ず相談をしてください。

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