認知症と遺産分割協議

父親が亡くなったので,相続の手続きをしたいのですが,母親が施設に入っていてもできるのでしょうか。というご質問をいただきます。

皆さん長生きをされますので,相続が発生する頃には,配偶者の方もご高齢となることが多く,中には病気をされたり,認知症を発症したりされることもあろうかと思います。

相続の手続きをするには,ほとんどの場合,相続人全員で遺産分割協議をして,遺産の分け方や取り分について,話し合いをします。これをするには,意思能力がなければできません。

話し合いに参加して,内容をご理解ご納得していただけているかが重要であって,書類に自筆できなくてもかまいません。施設に入っていても,寝たきりで手が動かせなくても,頭が元気でさえあれば,可能です。

では,相続人の中に,意思能力が不十分で,話し合いが難しい方がいるときは,どのようにすればいいのでしょうか。

成年後見制度を利用する

意思能力が不十分な方に代わって,家庭裁判所に成年後見人を選任してもらい,その者が遺産分割協議に参加することができます。

しかし,成年後見制度は,一度開始してしまうと,亡くなるまで続けることになり,途中でやめられません。ご家族にとっても負担が大きく,遺産分割協議をするためだけにこれをおすすめするのは,やや気が引けるものです。

遺言書を利用する

遺言書があれば,遺産分割協議をしなくても,相続の手続きを進めることができます。

今回の事例のように,配偶者が認知症等によって意思能力に不安があるときは,遺言書を作成しておくことがとても効果的であります。

遺言書を書くことに抵抗感のある方や,単純に面倒に思われる方もまだまだ多いですが,遺言書ほど,相続のあらゆる問題をお手軽に解決する方法は,他にはありません。

しばらく様子をみる

上のふたつの方法のいずれも採用できない場合には,意思能力が不十分な配偶者についても,ご臨終を迎えるまで様子をみることが考えられます。

相続の手続きを急がず,しばらく待てる状況でなければできませんが,両親ともにお亡くなりになってから,相続の手続きを開始することで,意思能力の問題については自動的に解決することとなります。

個人的には,元気なうちに遺言書を書いておくことをおすすめしております。相続が開始してから起こる問題点にその都度取り組むよりも,時間と費用を相当削減することができます。

相続にかかる手間は,財産の多い少ないにかかわらず,変わりません。それゆえ,財産が少ないほうが,相続にかかるコストが相対的に大きくなるものであり,遺言書を作成しておく意味も大きくなってまいります。

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