成年後見制度はどうなるのか

平成31年3月19日付朝日新聞,東京新聞において「成年後見は『親族が望ましい』選任対象について最高裁が家裁に通知した」旨の記事が掲載されました。

これをきっかけに,成年後見制度を取り巻く問題点に関してさまざまな憶測を呼び,裁判所が後見人を選任する過程にも影響があるのではないかと危惧されています。

また,成年後見人に対する報酬のあり方についても,その業務や難易度を考慮するようにと最高裁判所が通知を発したと報道されています。

後見人による不祥事ばかりではなく,その仕組みに対して,国民から批判的な声が高まっていることにも目を向けなければなりません。一方で,報酬を払うことが困難な方については,無償で後見人に就任している専門職もあり,善意に支えられたきわめて不安定な制度になりつつあることが問題であります。

長い引用ですが,問題点を整理されているように思います。そのうえで,私自身が感じていることをまとめます。

親の面倒は子が見るべき

身寄りのない独居老人はともかく,家族がいるのであれば,親のことは身内でしっかり面倒をみていくことが基本であると考えます。

とはいえ,それぞれに生活もあることですから,介護について,24時間付きっきりでというわけにはまいりません。例えば,介護保険制度の利用や有料老人ホームへの入居等,本人や家族の負担で,助け合っていくことが肝心であります。

もっとも,成年後見制度については,意思能力が欠けている,あるいは不十分な方を支援する制度であって,介護ではありません。

本人に代わって,施設との契約をしたり,預貯金の管理をしていくことがその仕事であって,まさに,自分たちが子どもの頃には親がやってくれていたことを,年老いた親に代わって,子どもが担うのは当然のことであります。

これが自分たちでは難しいのであれば,専門家に依頼をせざるを得ないわけです。お世話はできない,しかし報酬も払いたくない,というのは,単なるわがままにしか聞こえません。

意思決定支援という傲慢さ

意思決定支援とはいいますが,本当にこれが実現されているのでしょうか。

意思能力を欠いているとはいえ,植物状態でなければ,何かを考えながら生活されている方がほとんどであります。ボケていても,パチンコや麻雀が好きな方はやりたいでしょうし,孫にお小遣いをあげることもあるでしょう。

本人の財産を守るというところに比重をおくことは,一方的な価値観の押しつけにもなり,家族から不満が出てきても致し方ありません。

真意を確かめることもなく,パターナリズムに陥っていないかということは,見返す必要があります。

成年後見人は,家庭裁判所の監督下にあり,注意義務があります。この注意義務のあり方が,家庭裁判所やリーガルサポート等の関係団体の顔色を伺うような形でなされていないか,ということです。

本人に成年後見人が選ばれていても,家族からすれば,実の親なのです。

これに対する配慮を欠くと,見知らぬ司法書士や弁護士が家庭に入り込んできて,自分の親を財産ともども奪っていったという印象を与えてしまいます。成年後見人は,誰の味方で,どちら側の人間なのでしょうか。

決定プロセスを可視化すべき

家庭裁判所に成年後見の申立をするときには,誰を後見人の候補者とするのか希望をすることができます。しかし,この希望が必ずしも通るとは限りません。

私は,普段から同居して介護をされている方がそのまま後見人となって支えていただくことが望ましいと考えておりますが,本人の財産の状況や,他の家族の同意が得られない等の事情があれば,裁判所は,第三者の専門家を選ぶことがあります。

問題は,この決定プロセスが,申立てをした家族にさえ,説明が十分にされていないことです。されているのかもしれませんが,これほどに不満が出ているということは,説明が足りないと評価されてもやむを得ません。

知らない人が後見人に選ばれるのなら,やめておこうと考える方もありますが,現在の制度では,希望が通らなかったからといって途中でやめることは許されていません。

なおさら,申立ての前に判定できる程度の基準は,公にされても然るべきではないでしょうか。

報酬は明朗会計にすべき

後見人が就任すれば,その事務量に応じて,報酬が発生します。この報酬は,本人の財産から支出されるものですが,いくら払うことになるのかは事前にはわかりません。

司法書士は,その報酬や基準となる考え方を事務所の見やすい場所に掲示するなどして明らかにしなければならないほか,事件の受任に際しては,依頼者に対して,十分な説明をしなければならないとされています。

しかし,家庭裁判所では,これを十分に説明されているとは言い難いようです。

これを一種の顧問契約のように考えるならば,成年後見人が就任する際に,月々の基本料金が何円で,これにはどのようなサービスが予定されているのかを示すべきであります。また,どのような場合に追加料金が発生するのかも含めて,説明をしなければ,本人や家族から納得できないと言われても仕方がありません。

頼みもしない司法書士や弁護士が後見人に選ばれて,報酬まで取られた。と半分言いがかりのようなクレームが独り歩きするのは,裁判所にも原因があると思います。

知らない人が後見人にならない対策を

これまで見てきたように,裁判所が選んだ専門家に自分の財産を管理されるのは嫌だと感じる方も多いことでしょう。そのために,知らない人を後見人にさせない方法があります。

自分がボケてしまったときに,信頼して身の回りのことを任せられる方と,任意後見契約を結びましょう。これは,自分で後見人になってもらいたい方を前もって指名できる仕組みです。

相手は,家族でも友人でもかまいません。好きな方を選んで,元気なうちに契約をしておくことで,いざというときでも安心です。

難しい書類は,司法書士におまかせいただければ,ご自分の希望にあった形で作成いたします。どのような老後を過ごしていかれたいのか,このあたりからじっくりお話をして,決めていきましょう。

ご相談の予約は,お気軽にどうぞ。

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