司法書士法の一部改正案が審議に入りました

司法書士法が一部改正される見通しであります。

平成31年4月8日より,参議院法務委員会にて審議が進められております。今回の改正の主な内容は,次のとおりです。

  • 目的規定を廃止し,専門職者としての使命を明らかにする規定を設ける。
  • 懲戒権者を法務局または地方法務局の長から法務大臣に改め,懲戒手続きの除斥期間を7年とする。
  • 社員が一人の司法書士法人の設立を可能とする。

不正な業務を行った司法書士に対する懲戒処分について,7年間を経過したときは,懲戒処分の手続きを開始することができなくなります。

これまでは,数十年経って,記憶も記録も失いかけたような事件であっても,懲戒請求がなされれば,必要に応じて調査等が実施されていたものですが,この期間が無制限であったことで,司法書士にとって過大な負担となることに鑑みて,除斥期間が設けられたものと考えます。

また,社員が一人であっても,司法書士法人が設立できるようになります。これまでは,二人以上の社員が必要でありましたが,緩和されることとなります。

個人事業主よりも,法人の方が,税金や社会保険の面などでさまざまなメリットがあるほか,高齢化する司法書士業界において,事業承継等,引退の方法として,活用することが考えられます。

参議院法務委員会にて,山口かずゆき氏が質疑をされたとのことで,ツイッターを通じて要点を発表されました。しかし,事実誤認が甚だしく,これらが独り歩きすることは誠に心外でありますので,反論を述べます。

司法書士と法律事務の専門職として構築する上での不安として,高度な教育水準が確保できているのかという点を指摘しますが,法律事務の専門職として活躍するためには,法令知識と実務の両面の能力が求められるものであります。

何をもって高度な教育水準と言われているのか定かではありませんが,この教育は,日本司法書士会連合会や各都道府県の司法書士会が与えるものではなく,個々の司法書士が日々研鑽していくべきことであります。

現行法上であっても,司法書士試験を合格した者が,無条件に司法書士登録が可能とするのは誤りです。

合格後の新人研修の受講履歴や都道府県の司法書士会での登録面接の内容等を勘案して,日本司法書士会連合会での登録審査会の審査を受け,問題がなければ登録することができます。

合格後の新人研修は,集合研修や司法書士事務所での配属研修を含めれば,概ね2~3か月は実施されており,これでも十分ではないにせよ,新人司法書士がペーパーテストだけで実戦投入されているような印象を与えるコメントは,不適切であります。

司法書士試験は,足切りとなる基準点が70%前後であり,合格最低点は,約80%の得点を取らなければ合格できません。一部には誰にも解けないような難問が含まれることを考慮しても,ほぼ全問正解を目指さなければ合格できないほど,厳しい試験となっております。試験対策として,一部の科目を捨てるような受験対策では,到底太刀打ちできるものではありません。

ここまでの流れから,ひょっとして,この方は,司法書士を何か別の国家試験と混同されているのではないでしょうか。まさかね。

また,「誰も同業者を知らず,誰からもアドバイスを得られない人もいるかもしれません。」というのは,大きなお世話で,根拠のない思い込みです。同業者に知り合いがいない者は,使命感をもつことが難しいとするロジックは,きわめて意味不明なものです。

同業者同士でつるんで,傷をなめあっていても,使命感など生まれるはずはありません。また,罰則をちらつかせて,上から教えられて覚えるようなことでもありません。

使命感というものは,目の前の依頼者に真剣に向き合って,お困りごとを解決することに必死になって考えて,調べて,よく話を聞いて,依頼者の満足を追求した結果に,自然と生まれ出るものであると考えます。

提言いただくのであれば,制度について,もう少し詳しくお調べになってからにしていただきたいものです。

もっとも,私個人としては,法律の条文に「使命」という規定がなければ,使命感を抱くことのできない専門職であること自体が,恥ずかしいことと思います。

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