遺言の内容と異なる遺産分割協議

遺言書は,争族となることを防ぐほか,相続の手続を簡便にすることができる等,これを作成しておくメリットはとても大きいことです。

しかし,遺言書の使い方を誤ると,別の方面から,相続トラブルに発展することもありますので,注意が必要です。

今回は,遺言書があった場合に,相続人全員によって,その内容を無視するような相続の方法が可能なのかについて,検討してみます。

遺言書があった場合,その遺言に無効な事由がない限りは,死亡によって直ちに効力が発生し,相続人に権利が移転するため,遺産分割をする余地がないと考えるのが原則です。

しかし,亡くなった方が遺言を書いた当時と事情が変わっていたり,相続人に受け取る意思がなかったり等の理由で,遺言の内容とは異なる分け方をしたいということを相続人全員が一致している場合には,遺産分割協議をすることができると考えられています。

遺言書があったのに,存在を知らなかった場合

相続人全員が,遺言書があったことを知らないで,遺産分割協議をしてしまった場合には,遺言書の存在を知ってさえいれば,遺産分割をしなかった可能性があったか否かを検討することとなります。

遺言書の存在を知っていれば,遺言書のとおりに手続をすることを希望し,それとは異なる内容の遺産分割をしなかった可能性が高いような場合には,錯誤により,その遺産分割協議が無効とされることがあります。

相続人の一部が,遺言書を隠してしまった場合

遺言の内容により不利な扱いを受ける相続人が,遺言書を隠してしまった場合には,その相続人は,相続欠格者となり,相続する資格を失います。

その結果,相続欠格者を含んだ遺産分割協議は,無効となるため,遺産分割協議をやり直すこととなります。

第三者へ遺贈する遺言があったのに,相続人だけで遺産分割をした場合

相続人ではない第三者へ不動産や金銭を遺贈する内容の遺言書があったのに,これを無視して相続人だけで遺産分割協議をしてしまった場合は,遺贈によって既に他人のものになった財産を遺産分割したことになります。

このとき,遺産分割をした共同相続人は,その相続分に応じて,担保責任を負うこととなります。遺言で第三者に遺贈された財産を取得した相続人は,他の共同相続人に対して,遺産分割協議の解除を求めることができます。

また,遺贈が包括遺贈であったときは,包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有するため,遺産分割協議に参加させなければならない当事者のひとりとなります。

したがって,遺言書の存在を知らずに,包括受遺者を除外してなされた遺産分割協議は無効であり,当事者に加えて協議のやり直しをしなければなりません。

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