経営参謀としての士業戦略

私ども士業は,AIなどの技術の発達によって,将来は,なくなると言われている職業です。

これが正しい表現とは思いません。

もちろん,技術の進歩によって,できない士業の先生たちは,淘汰されていくでしょう。それが国民の利益になりますから,ついてこられない先生方は,どんどん市場から離脱していってほしいものです。

これからは,書類作成や調査等の形式的な事務コストを技術に頼ることで大幅に削減する一方,クリエイティブな仕事に注力できるようになることは,私としては歓迎するところであります。そして,他の分野の専門家と協力しながら問題解決をしていけるようなチームビルディングは,機械に置き換わるものではありません。

本書では,think,humanity,bodyの三つの要素を伴う仕事は,AIによっても自動化されにくいと説明されます。

例えば,新しい企画を生み出すこと,共感や励ましにより安心感や癒やしを与えること,責任の伴う仕事や何らかの権利関係が発生する仕事です。

相続や事業承継への対策として,依頼者の気持ちや家族への思いをしっかりとヒアリングして,コンサルティングをすることは,機械にとっては難しいことです。

成年後見や家族信託についても,相手にあわせた臨機応変な対応や想像力が要求されますから,これも同様です。

一方で,登記業務のような,形式的な書類の作成と点検に至っては,むしろ機械に任せたほうが正確かつ早いため,これからは発展性の見込めない業務分野となりましょう。不動産売買の場面においては,ブロックチェーンの技術を利用すれば,不動産登記から代金決済にいたるまで,司法書士を介在させることなく,当事者のみで安全な取引ができるようになります。これに対しては,法改正という大きな壁が控えておりますが,いつまでも盤石ではいられないことを肝に銘じるべきです。

また,本書では,経営参謀としての士業の存在価値について,説明されます。

経営者の不安や悩みごとに寄り添い,一緒に成功することで得た信頼関係のもとでは,もはや価格競争のような,小さな理由では切り捨てられることはありえません。話をよく聞いてくれて,実効性のある提案をしてくれる。しかも国家資格までもっているのですから,ある意味では最強ではありませんか。

中には,司法書士は司法書士の仕事ではないことはやってはならない,のような資格に縛られている方もよく見かけますが,もったいないことです。

このほか,士業のマーケティングについても触れられていますが,これを読んでいるような殊勝な先生方におかれましては,言われるまでもなく取り組んでおられるであろう,一般的なものでした。

特に目新しい論点のある書籍ではありませんが,自分が目指している方向性が,現在のトレンドから大きくはずれるものではないことが確認できただけでも,十分であります。

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