相続の手続は早めにとりかかりましょう

「相続の手続は,いつまでにやらなければならないのでしょうか?」

よくおたずねいただきます。

相続の手続の中で,期限が決まっているものは,相続放棄の3か月,相続税の申告の10か月というのが主なもので,これを除くと,ほとんど決まっているものはありません。

令和元年7月1日から施行された改正相続法の中には,期限が定められている重要な制度があります。

たとえば,長男のお嫁さんのように,相続人ではない親族が,亡くなった方に対して,介護や看病に尽くしたときには,その特別の寄与に対して金銭の請求ができますが,これは,相続が開始したこと及び相続人を知った時から6か月,または相続開始の時から1年以内に限って,家庭裁判所に申立てをすることができます。

一方で,期限がないからと,相続の手続を後回しにすると,忘れてしまったり,他の相続人が亡くなってしまって,相続が二重にも三重にも発生してしまったりすることがあります。

先日,約50年前にお亡くなりになった方の,土地の名義変更の登記手続が忘れられていたとの相談がありました。

その頃に亡くなったとすると,現在の相続人を探すのに,それなりに大変なことになるかもしれないと,訪問したところ,その当時の戸籍謄本や印鑑証明書などがきれいに保存されていました。

50年前に,遺産の話し合いも済まされており,書類が残されていました。書類を集めて,遺産分割協議書を作成したところまで進めたのに,なぜか相続登記だけを忘れてしまっていたそうです。

相続登記で使う書類には,有効期限がありません。戸籍も印鑑証明書も,その当時に取得したものが今でも使えます。

おかげで,無事に,登記手続まで進めることができました。

しかし,このように,古い資料がきれいに残っていることは,めったにありません。通常は,お亡くなりになった方の相続人の捜索から始まります。

場合によっては,相続人が数十人にも増えてしまうほか,手続に必要な書類が保存期間が過ぎて廃棄されてしまう等,手間と費用が余分にかかってしまうことがあります。

相続の登記手続が忘れられているかどうかを見破るためのわかりやすいポイントがあります。

毎年,固定資産税の納税通知書とともに送られてくる固定資産税課税明細書を見ていただき,宛先が亡くなった方の名前のままになっているときは,相続登記がされていない可能性が高いです。

そのような課税明細書を見たときは,速やかに司法書士にご相談ください。

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司法書士 野田啓紀
司法書士 野田啓紀
遺言書、家族信託、成年後見制度などを活用した相続対策、認知症対策を専門とする司法書士です。相続登記や遺産承継業務のような死亡後の相続の事務手続だけではなく、生前での相続や事業承継への対応に、適切な助言をいたします。