ぼく、街金やってます

発売日前から楽しみにしていた本でした。

ツイッターで,おもしろい街金の方がいて,エピソードが書籍化されると聞きまして。

すぐに読み終えました。街金のお話です。決して闇金ではありません。

街金でお金を借りる人たちですから,普通ではありません。銀行でもノンバンクでも,もはや借りられない人たちの最後の手段ですから。

他人の不動産を担保にする男,未熟な地面師,6000万円を肩代わりする鬼嫁と,目次を見るだけでもお腹いっぱいになりそうです。

街金を利用するのは,必ずしも悪いことではないと思います。

利息制限法上限いっぱいで貸付をされておりますから,その負担は大きいですが,資金調達の考え方次第なので,すぐに返済できる見通しがあって,融資を受けるまでに時間をかけていられないような場面では,有効な手段になりえます。

本を読んでみて,著者のテツクルさんは,金融の知識のみならず,不動産の査定や債務者の審査など,熟練の技があります。不動産担保についても,並々ならぬ知識をお持ちでいらっしゃいます。

先順位の抵当権がいる中で,物件の査定をして,どこまで貸付ができるのかを計算されるのですから,そこらの銀行員よりも融資の実務や知識は卓越されています。

それに対して,いまどきの銀行員は,住宅ローンの審査をするにも,図面が読めない方や,現場を見に行かない方までいるくらいですから。

債務者との日常のやり取りを通じて,環境の変化を早めに察知するなど,貸し倒れゼロを保っている秘訣は,このようなところにあるのでしょう。

私ども司法書士も,街金の方の担保がついている物件の売買に関わることがあります。

不動産の決済の依頼があり,登記簿を見ると,根抵当権者が個人名となっていまして,おそらく街金の方だろうなと思い,多少緊張して債権者に連絡をしますが,意外とやさしくて,すぐに日程調整をして会っていただけました。

担保の抹消に関する打ち合わせの際も,すぐに書類を準備してくれますし,けっこう雑談もしてくださいます。なによりも,担保の手続きについては,熟達されているので,話が早いのです。

この点,いまどきの銀行員は,抵当権の抹消の手続をするにも,登記簿が読めない方もいるほか,必要な書類や準備に関してもほとんど無知で,連絡を取ろうにもなかなか電話が繋がりませんし,愛想もありません。

この本が出版されるきっかけは,ツイッターであったそうです。発売前後も,ツイッターで次々と拡散されて,まさに今どきのマーケティングです。

字が大きくて,文字が少なくて,とにかく読みやすいので,すぐに読めます。最近読んだ本の中では,素直におもしろいと感じました。夏休みの課題図書に,いかがでしょう。

投稿者プロフィール

司法書士野田啓紀
司法書士野田啓紀
遺言書、家族信託、成年後見制度などを活用した相続対策、認知症対策を専門とする司法書士です。相続登記や遺産承継業務のような死亡後の相続の事務手続だけではなく、生前での相続や事業承継への対応に、適切な助言をいたします。

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