正字、俗字、変体仮名

登記簿に記載される名前は,住民票や戸籍に基づいて,正確に登録されることになっています。

しかし,名前の漢字を間違えて登記申請をしてしまったために,誤った漢字で登記簿に登録されてしまうことがあります。

また,法務局が見間違えて,誤った漢字で登録されてしまうこともあります。

古くに手続をされた登記簿を見ますと,ときどき字を間違えて登記されていることがあります。今ほどに,精度の高い事務がされていなかったためでしょう。良くも悪くも,大らかな時代でした。

さて,住所や名前を誤って登記をしてしまった場合に,これを直すための手続が更正登記です。

特に売買や生前贈与で,他の人に名義を変更しようとしたときに,登記簿に記載された氏名印鑑証明書に記載の氏名が異なる場合,前提として更正登記をしなければ,人違いが申請した登記として,却下されてしまいます。(不動産登記法25条7号)

法務局では,名義を変えたり,担保を設定したり,重要な手続にあたっては,登記簿の記録,権利書,印鑑証明書を調査して,本人以外のなりすましによる登記申請を排除しています。そのため,誤って登記がされていただけであっても,厳しい判断がされてしまうことになります。

世の中,漢字の表記というのは様々にあります。たとえば,「さいとう」や「わたなべ」という名前には,数多くのパターンの漢字が充てがわれます。

俗字であっても,更正登記をすることなく,法務局で処理をしてくれるものもあれば,誤字として更正登記をしなければならない文字もあります。

些細なことに感じるかもしれませんが,この判断を誤ると,登記申請を取り下げることになり,取り返しのつかない業務過誤となります。われわれ司法書士にとっては,きわめて重要なファクターです。

は,別の文字として,読み替えができません。

これは,読み替えができません

これは,読み替えができるので,更正登記が不要です。

これも,読み替えができるので,更正登記が不要です。

一見して,これを見極めるのは不可能です。なにか法則性があるものでもなく,知っているか知らないか,これだけです。

登記のご依頼をいただいたときに,われわれが,早めに住民票や印鑑証明書を欲しがるのは,正確な名前の漢字を早く確認したいためです。登記簿の記載と誤っていないか,知りたいためです。

しつこいと思われましても,このような事情があるためです。ぜひ,ご理解ご協力を賜りたいと思います。

投稿者プロフィール

司法書士野田啓紀
司法書士野田啓紀
遺言書、家族信託、成年後見制度などを活用した相続対策、認知症対策を専門とする司法書士です。相続登記や遺産承継業務のような死亡後の相続の事務手続だけではなく、生前での相続や事業承継への対応に、適切な助言をいたします。

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