不動産登記

土地所有者の調査がはじまりました

平成30年11月に施行されました所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法に基づいて、法務局が土地の所有者の調査を開始しております。

法務局からの長期相続登記等未了土地解消作業委託契約として、各都道府県の司法書士の関係団体が落札をしております。愛知県では、愛知県公共嘱託登記司法書士協会が落札しました。

愛知県では、本年3月を目処に、1000件の土地所有者について調査をするとのことで、厳しいスケジュールの中で取り組んでおります。作業する人員が不足しているとの情報を得ましたので、私もこれに参加して、日々、戸籍の読み取りと戸籍の請求書の記入に追われております。

仕事の少ない時期に、このような公共事業はたいへんありがたいものです。

これまでも言われ続けておりますが、所有者の所在がわからない土地が日本中にあふれており、問題となっております。

これを解消するためにさまざま施策が実行されており、相続人調査もそのひとつです。

この調査が終わりますと、長年にわたって登記がされていない土地には、「長期相続登記等未了土地」とマーキングがされます。

また、当該土地の所有者の相続関係を示した一覧図が法務局に備え付けられることとなり、法務局から相続人に対して「速やかに相続の登記をしてください」と勧告がされます。

この調査のために、法務局は、戸籍や住民票のほか、固定資産税課税台帳や農地台帳・林地台帳に記載された氏名や住所等の情報も利用できることとなっております。

所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法

第40条 登記官は、起業者その他の公共の利益となる事業を実施しようとする者からの求めに応じ、当該事業を実施しようとする区域内の土地につきその所有権の登記名義人に係る死亡の事実の有無を調査した場合において、当該土地が特定登記未了土地に該当し、かつ、当該土地につきその所有権の登記名義人の死亡後10年以上30年以内において政令で定める期間を超えて相続登記等がされていないと認めるときは、当該土地の所有権の登記名義人となり得る者を探索した上、職権で、所有権の登記名義人の死亡後長期間にわたり相続登記等がされていない土地である旨その他当該探索の結果を確認するために必要な事項として法務省令で定めるものをその所有権の登記に付記することができる。

2 登記官は、前項の規定による探索により当該土地の所有権の登記名義人となり得る者を知ったときは、その者に対し、当該土地についての相続登記等の申請を勧告することができる。この場合において、登記官は、相当でないと認めるときを除き、相続登記等を申請するために必要な情報を併せて通知するものとする。

3 登記官は、前二項の規定の施行に必要な限度で、関係地方公共団体の長その他の者に対し、第一項の土地の所有権の登記名義人に係る死亡の事実その他当該土地の所有権の登記名義人となり得る者に関する情報の提供を求めることができる。

4 前三項に定めるもののほか、第一項の規定による所有権の登記にする付記についての登記簿及び登記記録の記録方法その他の登記の事務並びに第二項の規定による勧告及び通知に関し必要な事項は、法務省令で定める。

所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(平成30年法律第49号)

亡くなってから30年以上放置されている土地の所有者の情報ともなりますと、相続関係は2代や3代にもわたっており、1件あたり調査する相続人の数が30名以上にもなります。中には、100名以上となることもあります。全員が存命ではないにしても、その後に相続の手続きをしようとすれば、面識もほとんどないような遠い親戚同士で、遺産分割協議をしなければならないこともあります。

所有者不明土地問題の解消は、国にとっても重要課題と位置づけられているものですが、当然のことながらそこには税金が投入されているのです。この相続人調査業務について、委託費用だけを単純に計算しても、15億円くらいかかっています。

相続が発生するたびに、自己負担できちんと手続きをしてきた方がいる一方で、何もせずに放置してきた方のために税金で処理をするというのも、なんとなく不公平感があるように思います。作業をしていても、ここまで放置されているものを国が黙って没収しても、誰も文句は言いに来ないのではないかと妄想しております。仮に文句を言ってきたところで、権利濫用か何かで追い返してしまえばいいのではないかと。

とはいえ、このまま放っておくことができませんので、現状の後片付けと今後二度とこのようなことにならないような施策を両輪で進める必要があります。

ところで、この相続人調査に関して、一部の自治体の役場が非協力的であるのが気になります。全国各地から、これまでにない量の戸籍の請求や固定資産台帳への問い合わせがあることは察しますけれども、法律に基づいてやっている作業であり、国の課題としてやらなければならない作業ですから、もう少し態度を改善されたいものです。

この点、法務局は、普段から、自治体の役場との情報共有や調整が不十分であることが目立ちます。国の言うことをなんでも聞く役場ばかりではありません。連携をして、効率よく行政手続を処理していただきたいものです。

このような所有者不明の土地が日本にあふれかえっている状況は、国や自治体にも責任があるわけですから。

さて、相続の登記をすっかりされていない方がいましたら、早急に手続きをされますことをおすすめします。亡くなった方の相続の手続きは、これからますます強制的にやらざるを得ない流れです。

相続をしたものの、遺産の中に不動産があるのかもわからない場合もあるかもしれませんが、亡くなった方が過去にお住まいになっていた地域など、ある程度の情報があれば、司法書士がその調査に協力をすることもできます。放っておくことが一番悪いことです。

相続が発生したら、お早めに司法書士にご相談ください。

ABOUT ME
司法書士 野田啓紀
司法書士 野田啓紀
名古屋で相続、認知症対策専門の司法書士事務所を経営しています。人生100年時代を豊かに過ごせるように、老いの不安を解消し、想いに寄り添うコンサルティングに強みがあります。 遺言書、民事信託、成年後見制度などを組み合わせた相続、認知症対策のご提案をいたします。 当事務所では、相続登記や預貯金の解約のような死後の事務手続だけではなく、生前の相続、認知症、事業承継への対応に、適切な助言をいたしております。