事業承継

会社の後継ぎは決まっていますか?

私が勤務していた司法書士事務所では、会社の設立よりも解散・清算のご依頼の方を多く経験しました。会社をたたむのに事情はさまざまですが、経営不振というよりも、代表者がある程度の年齢に達して、後継ぎがいないことが理由の中では多かったように思います。

日経新聞等で、事業承継の問題については最近しばしば取り上げられております。中小企業の経営者で70歳以上の方の半数以上が後継者が決まっていないとの回答があったと報じられております。これは由々しき事態であります。

少子超高齢社会において、現役世代の負担が大きくなっていますが、これが企業でも同じような状況が迫っているといえます。高い技術力をもつ中小企業が、後継ぎがいないために廃業を止む無くすることは、日本の経済において決して望ましいことではありません。

事業承継を検討するにあたって、いくつか越えなければならないハードルがあります。また、いずれも現在の代表者の意思がはっきりしているときにできることであり、認知症等で判断能力を失ってしまってからは何もできません。元気なときに可能なかぎり検討を進めておくことが望ましいと考えます。

後継者を探すこと

事業を引き継ぐためには、自分が第一線を退いて、後を任せられる人を就けることとなりますが、候補者としては次のような方が考えられます。

  • 子や孫に継がせる
  • 社内の役員や従業員を昇格させる
  • 社外から招聘する

いずれもメリットとデメリットがあります。

次期社長を社内から選ぶほうが、社風や経営理念をよく理解し、既存の従業員との関係も築きやすいでしょう。社外から希望にあった経験や能力のある方を招くことで、将来にわたって安心して経営を任せられますが、社内の反発や従業員のモチベーションの低下につながることもあります。

取引先や金融機関との調整

現在お付き合いをされている取引先や金融機関は、社長個人の信頼や人望によるところが少なくありません。前もってしっかり説明をするだけでなく、後継者に完全に任せられるようになるまで、会長などに残られて、社長を補佐するとともに、継続して外交を担当することが考えられます。

また、会社の借り入れについて、社長が個人保証をしているような場合には、金融機関と綿密に打ち合わせをして、整理することが必要となります。

従業員の処遇


規模や伝統にかかわらず、会社は、従業員がいなくては成り立ちません。

社長が変わったことで、従業員の待遇が大きく変わってしまうようなことがあれば、不安が募るものです。また、従業員との軋轢により、十分な協力が得られないような状況があれば、経営に悪い影響があらわれます。

会社の株式の取り扱い


会社の最高意思決定機関は、株主総会です。株式の取り扱いを誤ると、経営が立ち行かなくなることがあります。

  • 会社の株主を把握する
  • 株主が分散しているようであれば、譲渡等により整理する
  • 次期社長に譲渡して、経営権を集中させることを検討する
  • 種類株式を利用して、経営権を円滑に委譲することを検討する
  • 生前贈与、遺言書、任意後見契約、民事信託を利用する

長く経営されている会社ほど、会社の株式は、価格が高くなっていることがあります。間違えると多額の税金がかかってしまうので、株式を動かす前に、決算書をよく確認して、株価をきちんと把握したうえで、進めなければなりません。

株価調整のため、計画的に決算書を作成することもありますが、金融機関との足並みをそろえて、実行しましょう。財務への理解が不可欠です。

事業承継を考える際に、後継者に経営を譲る以外にも、会社をまるごと売り払ってリタイヤするM&Aの方法もありますが、これは別の機会にまとめます。

事業承継は、思い立ってすぐにできることではありません。

自分が携わったものの中には、10年計画で進められた会社もあります。社長おひとりですべてを決定することは大きな負担になります。

司法書士野田啓紀事務所では、会社法や商業登記のほか、財務の観点から事業承継のアドバイスをいたしております。法務、労務、税務の問題もありますので,信頼できる専門家でチームをつくり、ご依頼者にもっとも適切な方法を提供いたします。思い立ったら、まずはご相談ください。

ABOUT ME
司法書士 野田啓紀
司法書士 野田啓紀
名古屋で相続、認知症対策専門の司法書士事務所を経営しています。人生100年時代を豊かに過ごせるように、老いの不安を解消し、想いに寄り添うコンサルティングに強みがあります。 遺言書、民事信託、成年後見制度などを組み合わせた相続、認知症対策のご提案をいたします。 当事務所では、相続登記や預貯金の解約のような死後の事務手続だけではなく、生前の相続、認知症、事業承継への対応に、適切な助言をいたしております。