法テラスは、総合法律支援法に基づき設立された法人で、総合法律支援に関する事業を迅速かつ適切に行うことを目的としています。法テラスの主要な業務の一つに、民事法律扶助業務があります。
これは、経済的に余裕がない方が法的トラブルにあった時に、無料で法律相談を行い、弁護士・司法書士の費用の立替えを行う業務です。
平成30年1月24日に総合法律支援法が改正され、認知機能が十分でないために自己の権利の実現が妨げられているおそれがある国民等(特定援助対象者)に対する法的支援が拡充されております。
これまでは、無料法律相談を受けるには、法テラスや法テラスと契約している弁護士・司法書士の事務所に往訪しなければなりませんでした。
今回の改正で、法的サービスの提供を自発的に求めることが期待できない方々に対し、福祉機関等の特定援助機関からの申し入れがあった場合には、出張相談であっても無料法律相談が利用できるようになりました。
特定援助機関の例
- 福祉事務所
- 生活困窮者自立相談支援機関
- 社会福祉協議会
- 地域包括支援センター
- 介護保険法上のサービス事業者( 居宅介護支援事業者・有料老人ホーム・特別養護老人ホーム・介護老人保健施設等)
- 障害者総合支援法上のサービス事業者(地域活動支援センター・就労支援事業所等)
- 児童福祉法上の支援事業者(障害児入所施設・児童発達支援センター等)
- 医療機関(医療ソーシャルワーカーが所属している機関)
- 地域生活定着支援センター
- 精神保健福祉センター
これがターゲットとしているのは、高齢者や障害者等の自力で外出することが困難な方であると考えられます。
ゆえに、相談の内容については、成年後見の利用が中心になるのではないでしょうか。愛知県司法書士会としては、この制度の拡充にできるだけ乗りかかっていく方針のようです。
しかし、私ども司法書士は、成年後見の申立てについては、家庭裁判所に提出する書類の作成とこれに必要な範囲での相談ができるのみであって、代理人となって手続をすることができないため、この制度の射程範囲からはやや外れてしまうのではないのかと思われます。
ただ、高齢者の消費者被害や債務整理等では、利用できるところも大いにあります。
個人的に法テラスを積極的に勧めたくない理由のひとつに、提出する書類が煩雑で、事務が旧態依然としている点があげられます。
利用者のためを考えるならば、もっと簡便で、迅速な事務があってしかるべきです。もっとも、国の予算を使っている事業であり、一方で不正利用をする弁護士・司法書士が後を絶たない以上、手続を厳格にしなければならない気持ちもわからなくもありませんが。せめて、WEBフォームやeメールでの書類のやり取りを、早く導入してもらえないでしょうか。