裁判

予防法務の大切さ

日に日に涼しくなってまいりまして、準備の早い方の中には、既にインフルエンザの予防接種を済ませた方もおられるようです。予防接種をすることで、感染を防ぐことができるだけでなく、罹患した場合でもその症状を抑えることができるとされています。

これは法律の世界でも共通するところがあります。

なにか揉めごとが起こって、話し合いで解決が難しい場合には、裁判手続を利用することが考えられます。しかし、裁判をするには、長い時間と多くの費用がかかります。代理人である弁護士や司法書士に払う報酬は、自腹です。

また、裁判に勝ったとしても、確実に回収できる見込みがないのであれば、気軽に裁判手続を勧められません。泣き寝入りですか、と憤慨される方もおられますが、回収見込みのない裁判を勧めることはいたしません。

トラブルになってから慌てるよりも、予防にコストをかける方が、結果として安上がりになります。

私どもがご依頼者から裁判手続の相談をいただいたときに、まず気にするのが回収の見込みです。相談に来られた方は、ある意味では被害者意識もあって、相手方をやり込めたいような気持ちになっていることについては、理解ができますが、裁判所は、相手を懲らしめる場所ではありません。

ある業界では、口頭での受発注が当たり前になっており、代金の支払いサイトも長いところが見られます。このような商慣習の中では、どこかで誰かが自転車操業になり、支払いが遅れた途端に、連鎖的に巻き込まれてしまい債権回収が困難になってしまいます。

このようなことにならないために、考えるのは予防です。

できる限り紛争にならないように、慎重に取引先を審査し、契約書類を作るほか、担保や保証を設定することが考えられます。また、会社の意思決定プロセスを見直すほか、監査機能を充実させることでも予防の効果を高めることができます。内部と外部の両面から、ビジネスを守っていくことが重要であります。

司法書士は、平和産業とも言われまして、揉めごとの渦中にいることが少ない業種であります。しかしながら、予防の面では、あらゆる士業の中でもこれほど慎重に執務をしている業界もないと考えております。

書類の点検から本人確認・意思確認に至るまで、後に紛争に巻き込まれないために、徹底しております。司法書士の日常的な慎重さを、予防法務のアドバイザーとして、ご依頼者の方々にも利用していただければと思います。転ばぬ先の杖として、予防法務について考えてみてはいかがでしょうか。

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司法書士 野田啓紀
司法書士 野田啓紀
名古屋で相続、認知症対策専門の司法書士事務所を経営しています。人生100年時代を豊かに過ごせるように、老いの不安を解消し、想いに寄り添うコンサルティングに強みがあります。 遺言書、民事信託、成年後見制度などを組み合わせた相続、認知症対策のご提案をいたします。 当事務所では、相続登記や預貯金の解約のような死後の事務手続だけではなく、生前の相続、認知症、事業承継への対応に、適切な助言をいたしております。