小売業で、資本金を減らす会社が増えているそうです。
スーパーなどの小売業で資本金を5千万円以下に減らし、法律上「中小企業」になる動きが広がっていることが15日、分かった。
帝国データバンクによると、今年1~7月に減資したのは412社に達し、前年同期の252社から6割以上増えた。
令和1年8月15日共同通信
令和1年10月からの消費税10%への増税に伴い、キャッシュレス取引に限り5%(コンビニなどは2%)のポイントを還元する制度がはじまります。
キャッシュレス・消費者還元事業は、増税される10月から9か月限定で導入され、適用対象は、次のとおりです。
- 製造業その他 資本金の額が3億円以下の会社または常時使用する従業員の数が300人以下
- 卸売業 資本金の額が1億円以下の会社または常時使用する従業員の数が100人以下
- 小売業 資本金の額が5千万円以下の会社または常時使用する従業員の数が50人以下
- サービス業 資本金の額5千万円以下の会社または常時使用する従業員の数が100人以下
例外もあり、資本金5億円以上の会社の子会社には適用がないほか、自動車や住宅の販売については、キャッシュバックの対象ではありません。
資本金の減少の手続
資本金を減らす目的として、一般的には、欠損填補による財務改善や税制面でのメリットを受けるものであります。
ただし、資本金の減少をするには、厳格な手続があり、時間と費用がかかります。
また、公告や債権者への個別通知も必要で、誰にも知られずに秘密に進めることはできません。
特にスケジュール管理が重要で、思い立ってから効力発生日までには、1か月半から2か月程度はかかります。
株主総会決議
資本金を減らす額やその効力発生日を決定するためには、原則として、株主総会の特別決議が必要となります。
欠損填補を目的とし、定時株主総会で決議をする場合には、例外的に普通決議でも可能となっております。
官報公告
資本金を減らす旨を、官報等、定款に定められた方法で、効力発生日の1か月以上前から公開しなければなりません。
- 資本金の額の減少の内容
- 貸借対照表や損益計算書の概要
- 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
特に、決算公告を官報に掲載していない会社の場合には、掲載日が限定されているため、申込みから掲載までに約2週間はかかります。
債権者への通知
取引先や金融機関に対して、会社が把握している全部に対して、資本金を減らす旨を各別に通知しなければなりません。
取引先にとっては、会社の資本金は信用であり、知らない間に勝手に減らされれば、困るためです。
金融機関の中には、資本金を減らすことに対して、異議申立てや、反対の意思表示をしてくることがあります。
その場合には、金融機関に対して、満足のいくような弁済をしたり、担保提供をしたり、追加での措置をしなければ、減資をすることができません。
登記手続
上記の手続を済ませて、効力発生日を迎えたら、2週間以内に、法務局で登記の手続をしなければなりません。
資本金を減らすときの注意点
資本金を減らすを減らすための手続には、上記のとおり時間と費用がかかります。すぐにはできません。
取引をしている金融機関とは、事前に打ち合わせを済ませてください。出し抜けで進めますと、途中で失敗します。
許認可の必要な事業をしている会社については、許認可を取得したり、その許認可を維持するために必要な資本金の額を把握したうえで、検討してください。
入札条件に、資本金の額が定められていることがあります。無計画に資本金を減らすと、入札ができなくなり、経営に差し支えることがあります。