商業登記

合名会社の活用方法

登記研究848号(平成30年10月号)を読んでおりますと、法務省の登記統計によれば、合名会社の設立登記が増加傾向にあるとする興味深い記事がありました。

合名会社を新規の設立するばかりではなく、株式会社から合名会社への組織変更についても同様に増加しております。

合名会社や合資会社といえば、古くは三井合名会社、三菱合資会社のような財閥があり、最近ではあまり見かけない会社となっております。

合名会社・合資会社の設立数の推移

最近10年間の統計を確認しましたところ、上記のとおり、合名会社を新規に設立すること、株式会社等の他の形態の会社を合名会社に変更することのいずれも増加傾向にあることがわかります。

合名会社とは

合名会社とは、会社法に定める会社の一種であり、社員のすべてが会社の債務について無限責任を負う無限責任社員で構成されています。(会社法576条2項)

出資した社員(オーナー)がすなわち役員として経営に携わり、所有と経営が分離していない会社の形態であります。無限責任社員のみで構成されている点から、相互の信頼関係に基づいて経営される、小規模で家族経営のような会社に適すると考えられます。

合名会社の活用方法

なお、現在においてあえて合名会社を選択するメリットが思いつきませんが、同書にはいくつか紹介されている事例があります。

相続税対策

合名会社が債務超過であるときには、超過部分の債務を社員個人の債務として、社員である被相続人の相続財産から控除して差し支えないと国税庁が見解を示しております。

例えば、オーナー個人として多額の資産を保有しているものの、経営している株式会社が負債を多く抱えているときに、株式会社を合名会社に組織変更して、相続税の節税を試みるというスキームが提案されます。

つまり、会社の債務をオーナー個人にも拡張して、相続財産を圧縮する方法です。

ただ、経営している会社が債務超過であるのに、オーナー個人が多額の資産を貯蓄しているというような状況が果たしてどのくらいあるのか、想像がつきません。

保証人の問題

社員の全員が無限責任社員であるため、オーナー個人を連帯保証人とする必要がないと考えられます。

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司法書士 野田啓紀
司法書士 野田啓紀
名古屋で相続、認知症対策専門の司法書士事務所を経営しています。人生100年時代を豊かに過ごせるように、老いの不安を解消し、想いに寄り添うコンサルティングに強みがあります。 遺言書、民事信託、成年後見制度などを組み合わせた相続、認知症対策のご提案をいたします。 当事務所では、相続登記や預貯金の解約のような死後の事務手続だけではなく、生前の相続、認知症、事業承継への対応に、適切な助言をいたしております。