株主名簿は、会社の株主が誰であって、何株保有しているのかを記録した書類です。
会社法で、これを本店に備え置くことが義務付けられています。これに違反しますと、100万円以下の過料が科されることとなっております。(現実に科されたという話は未だに聞いたことがありません。)
会社の株主は、法人税の申告書の別表2などに記録されるところがあるため、その管理を税理士に任せていることがほとんどであると思われます。
しかし、税務の帳簿で管理するだけでは不十分で、会社法に定められた様式で整えることが必要となります。また、平成28年10月1日から、会社の登記をする際に、株主の氏名や住所、議決権数等を記載した株主リストが添付書面となったため、司法書士に会社の登記のご依頼をいただいたときには、株主の状況がわかる資料の提出を求めております。
株主名簿の記載事項
- 株主の氏名又は名称及び住所
- 株主の有する株式の数
- 株主が株式を取得した日
- 株券発行会社である場合には、株券の番号
株主を管理することの重要性
会社の役員や役員報酬、事業目的の変更、減資など、会社にとって重要な事項を決定するのは、株主総会です。
株主総会を開催するためには、株主に対して招集通知を出して、実際に株主に集まってもらうことになりますが、一部の株主であってもこの手続が漏れてしまうと、この株主総会の決議が効力をもたないことがあります。会社だけでなく、取引先等の周囲にまで大きな迷惑がかかってしまうことが考えられます。
中小企業では多いのですが、会社の株式を親族間で持ち合っており、さまざまな事情で株式を譲渡することがあります。本来の手続では、株式譲渡契約をして、これを株主総会や取締役会で承認を受けなければならないところ、これら正規の手続を割愛されることがほとんどでしょう。
古い会社ではありがちですが、かつては会社を設立するためには7名の発起人が必要であったため、名義だけ貸している方(名義株主)も多くあったものと予想され、会社が把握している株主と実際の株主にズレが生じていることが心配されます。
また、会社に対して出資したと思いこんでいる方の中には、会社に対して株主として出資したのか、貸付金として渡したのかを正確に整理されていないために起こる金銭トラブルも見られます。
会社の株主が適切に管理されていない状況で、株主に相続が発生すると、相続財産として株式をどれだけ保有していたのか問題になることがあり、会社と株主の相続人の間で、無用な紛争の種になってしまいます。
株主名簿を整備しましょう
まずは、会社の株主名簿を見てみることから始めましょう。
備え付けていなければ、早急に作成する必要があります。株主名簿に、見たこともないような方の名前があれば、実在するのかどうかを確認するとともに、株式の売渡請求の手続等を利用して、買い取りを進め、整理することが望ましいです。
また、事業承継を考えるうえでは、株主の整理をすることは第一歩になります。
司法書士は、会社の登記を通じて中小企業の経営支援にも積極的に取り組んでおります。顧問の税理士の先生と連携して、会社の株主名簿を整理するための助言も行っております。ご不明な点があれば、お気軽にご相談いただければと思います。