相続・遺言

配偶者居住権の評価額

配偶者居住権とは

配偶者居住権は、配偶者が相続開始時に居住していた被相続人の所有建物を対象として、終身または一定期間、配偶者にその使用収益を認めることを内容とする法定の権利を新設し、遺産分割における選択肢の一つとして、配偶者に配偶者居住権を取得させることができることとするほか、被相続人が遺贈等によって配偶者に配偶者居住権を取得させることができることにするものです。

お亡くなりになった方の名義の建物に同居していた配偶者が、相続開始後にも引き続きその建物に住み続けられるように、相続分の面などで配慮された新しい制度であります。

配偶者居住権の評価額

自民党から発表された平成31年度税制改正大綱の中に、配偶者居住権の評価額について、計算の方法が記載されておりました。

わかりにくいので、数式に置き換えました。数式にしたほうが、意味がわかりやすいと思います。大綱では、y1は残存耐用年数、y2は存続年数と定義されています。

相続開始時点での建物の時価を基準に、配偶者居住権が存続する期間分の減価償却をした残価にライプニッツ係数を乗じて現在価値に引き直し、これを時価から控除した残りが配偶者居住権の評価額であると読み取れます。

回りくどいのですが、建物の価格を配偶者居住権の部分と、配偶者居住権の負担がついた所有権の部分とに分けるための計算方法であります。

例えば、時価500万円で、築20年の木造住宅に、法定利率5%として5年間の配偶者居住権を設定する場合は,
p=500万円
y1=13(∵22✕1.5-20)
y2=5
r=0.05
上記に基づき計算をしますと、配偶者居住権の評価額として258万9150円となります。

建物の法定耐用年数を経過しているとき、配偶者居住権の設定期間が長いときは、y1や(y1-y2)の数値がマイナスとなってしまいますが、この場合には、「零」として計算することとなります。

すなわち、この場合には、時価と配偶者居住権の評価額が一致することとなります。

配偶者居住権に基づく敷地利用権の評価額

敷地利用権の評価は、建物とは異なります。

配偶者居住権が設定されている期間中は、敷地部分も排他的に利用することが可能であることから、定期借地権の評価に似た考え方で計算されております。

配偶者居住権の設定の登記

配偶者居住権を設定したときは、これを法務局にて登記して、公示することとなります。

配偶者居住権の設定の登記にかかる登録免許税は、建物の固定資産税評価額の1000分の2の割合となります。

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司法書士 野田啓紀
司法書士 野田啓紀
遺言書、家族信託、成年後見制度などを活用した相続対策、認知症対策を専門とする司法書士です。相続登記や遺産承継業務のような死亡後の相続の事務手続だけではなく、生前での相続や事業承継への対応に、適切な助言をいたします。