病気や事故で、若いうちにお亡くなりになってしまうこともあります。
とてもつらく、なんとも胸が痛くなるお話です。
悲しみや辛さにも、できるだけ寄り添って、不安を解消していただければと思いますし、その後の相続の手続についても、家族の負担が少なくなりますように、お手伝いさせていただいております。
今回は、相続人に未成年者がいる場合について、説明をします。
未成年者が法律行為を行うには、親権者が法定代理人となってすることとなります。
相続の場面では、遺産分割協議や相続放棄がこれに当たります。
例えば、父が死亡した場合に、共同相続人である母と未成年の子が行う遺産分割協議など、未成年者とその法定代理人の間で利害関係が衝突することがあります。
このような場合、子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければなりません。
特別代理人選任の申立が必要です
親権者たる親が子を代理して手続をする場合には、ひとり二役で、親が全部総取りをするような遺産分割ができてしまいます。すると、親の方が一方的に利益を得ることができます。
法律では、このようなことを利益相反行為といい、ひとり二役が認められません。
- 夫が死亡し、妻と未成年者で遺産分割協議をする行為
- 複数の未成年者の法定代理人として、遺産分割協議をする行為
- 相続人である母(又は父)が未成年者についてのみ、相続放棄をする行為
- 同一の親権に服する未成年者の一部の者だけ、相続放棄をする行為
親が一方的に利益を得る場合のみならず、子どもが二人いる場合に、親権者の一存で、長男には相続させ、二男には相続放棄をさせるような場合にも、利益相反行為として、特別代理人選任が必要となります。
ただし、親子全員で相続放棄をする等、親子間での利害衝突がなければ、特別代理人を選任する必要はありません。
家庭の事情によって、さまざまな場面が想定されますので、まずは専門家にご相談いただくのがいいでしょう。
これを誤りますと、手続が無効となり、やり直すことになります。
特別代理人選任の申立の方法
子の住所地を管轄する家庭裁判所に、書類を提出します。
提出書類は、申立書のほか、子の戸籍謄本や、遺産分割協議書案などが必要となります。
特別代理人に選ばれるためには、特別な資格は必要ありません。
その相続手続に関わりのない方で、たとえば祖父母や叔父叔母になっていただくことができます。また、身内に候補者がいない場合には、弁護士や司法書士に特別代理人となってもらうこともできます。
特別代理人選任の手続はお早めに
特別代理人選任の申立をしてから、選ばれるまでに、約2週間から1か月ほどかかります。
特別代理人が選ばれて、ようやく相続の手続を始めることができるため、それまでは遺産分割などの手続が止まってしまいます。
財産が凍結されてしまい、生活資金や納税資金の確保が難しいような場面も考えられますので、早めに準備いただくためにも、司法書士や弁護士に書類の作成を依頼されることをおすすめします。