相続・遺言

スマート相続口座

お亡くなりになったあとの預貯金の相続の手続は、思いの外、手間取ったという声を聞きます。

戸籍謄本のほか、さまざまな書類を金融機関に求められ、一日を使い切ってしまうこともめずらしくありません。

スマート相続口座

信託銀行では、この手続を簡易にしたサービスが提供されております。

生前に手続をしておくことで、亡くなったときは、口座の残高を指定した割合で自動的に相続人に振り分けてもらえる仕組みです。

預貯金のみであれば、遺言書の代わりになります。

また、この仕組みでは、遺産分割協議をしなくてもよいため、亡くなった時点で、相続人の中に認知症などで判断能力が低下している方がいても、相続財産が凍結することを避けられます。

死因贈与契約です

サービス名には「相続」とありますが、内容は、銀行口座を介した死因贈与契約です。

つまり、銀行口座の預金残高を、指定した者に対して、指定した割合で分配することを、生前に契約しておきます。その手段として、信託銀行の口座を利用するものです。

信託銀行としては、大切な預金を、他社に流れないように囲い込む目的もあることでしょう。

意思能力に注意

遺言書であれば、書く側にさえ意思能力があれば、もらう側の意思能力は不問です。

しかし、このスマート相続口座は、死因贈与契約ですから、契約時点で、あげる側ともらう側の双方に、意思能力が必要です。よって、契約時に既に認知症等で判断能力が低下している方が家族にひとりでもいれば、利用することは難しいでしょう。

また、あげる側に、口座の契約後に成年後見人が就任した場合、成年後見人の財産管理の便宜のために、口座を解約されてしまうことも考えられます。これでは、当初の目的を達成することができなくなってしまいます。

遺言書が、断然おすすめ

スマート相続口座を開設して、手続をするためには、契約手数料がかかります。とある信託銀行では33万円でした。残念ながら、価格に見合ったサービスではないと評価します。

財産が預貯金のみの方は、手間が少なく、簡便な手段であるように思います。しかし、預貯金だけでなく、不動産などの財産のある方にとっては、そちらについては遺言書や遺産分割協議などの別の方法で手当をすることとなり、費用も余分に発生してしまうことでしょう。

私は、はじめから、遺言書を作成されることをおすすめします。

遺言書を作成するときには、財産全体の整理にはじまり、すべての財産の行き先を表現します。結果として、費用負担も、このサービスに比べれば随分と抑えることができます。

また、費用を抑えながら、スマートに財産を承継させるには、生命保険を使うことも効果的です。

なによりも、相続や認知症の対策には、難しいことを始めるより、まずは遺言書からです。

ABOUT ME
司法書士 野田啓紀
司法書士 野田啓紀
名古屋で相続、認知症対策専門の司法書士事務所を経営しています。人生100年時代を豊かに過ごせるように、老いの不安を解消し、想いに寄り添うコンサルティングに強みがあります。 遺言書、民事信託、成年後見制度などを組み合わせた相続、認知症対策のご提案をいたします。 当事務所では、相続登記や預貯金の解約のような死後の事務手続だけではなく、生前の相続、認知症、事業承継への対応に、適切な助言をいたしております。