相続・遺言

相続登記の登録免許税が免税になります

長年にわたり、相続の登記がされていないことにより、所有者の所在が把握できない土地が日本中にあふれていることが社会問題化していることについては、拙ブログでもたびたび言及しております。

政府としても、さまざまな手段を講じて、これを改善していくことに取り組んでおります。

本日より、相続登記にかかる登録免許税を免除にする措置が施行されております。本来は、相続によって名義変更をするときは、不動産の固定資産税評価額の1000分の4に相当する登録免許税を法務局に納めなければなりません。この費用負担を解消し、相続登記を促進するための新たな政策であります。

相続登記にかかる登録免許税が免除になる土地

ただし、すべての土地について登録免許税が免除にあるわけではありません。次の三つの条件にすべてあてはまる土地が、この対象となっております。

  • 市街化区域外の土地
  • 相続登記の促進を特に図る必要があるものとして法務大臣が認定した土地
  • 固定資産税評価額が10万円以下である土地

相続登記の対象となる土地が共有持分の場合には、移転する共有持分の価格が10万円以下であれば、免除の対象となります。

登記申請の際に、本件に該当する旨を証明する書面は必要ではありません。

登記申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と記載することとなります。また、対象土地であることを見落として、登録免許税を納めてしまったときは、後日に還付請求を受けることはできません。

租税特別措置法第84条の2の3第2項の対象となる土地の確認手順

  • 対象となる土地の固定資産税評価額が10万円以下であること
  • 法務局のホームページにより対象地域であること
  • 申請人に市街化区域以外の土地であることを聞き取る
  • 評価証明書または課税明細書で土地計画税が課税されていないこと
  • 上記の手順によっても、対象地であることがわからないときは、管轄法務局へ照会する

所有者不明の土地問題を解決するために

これで相続登記が促進されるかと言えば、まだまだ不十分であります。

免税措置を土地ごとに限定するのではなく、相続開始の時点から期限を定めて、期間内に手続をしたものについては全額免税にする等、思い切った改革をしなければ、相続未登記の問題は解消されないものと考えます。一方で、相続登記が義務化されることも検討されております。

また、亡くなった親がどこに不動産を所有していたのかがわからないために、相続登記が進んでいない事実もあります。

自宅の土地や建物であれば、見落とすことはありませんが、山林や畑になると、もはや子の世代では全容を把握することは難しいと考えます。固定資産税が課税されている土地であれば、毎年納税通知がされますから、相続登記を遺漏することは少なくなります。

しかし、山林や畑は、価値がほとんどなく、そもそも固定資産税が課税されていないこともあり、相続人はおろか、自治体ですら課税台帳を更新しておらず、所有者不明土地問題の原因のひとつとなっています。

今や、誰も管理していない土地が、日本中に溢れかえっているのです。

反対意見が多くありますが、不動産の所有者の情報を、住民基本台帳やマイナンバーと紐付けることにより、名寄せを容易にするだけでなく、不動産の所有者に相続が開始したことが速やかに認知できる方法となりうるのではないかと考えます。

歴史を遡れば、戦後の民法改正等により、隠居や家督相続の制度を廃止したほか、農地改革により自作農を中心にしたことが、今になって弊害が生じております。

一時しのぎの政策ではなく、土地制度や相続のあり方そのものを、あらためて最適化すべき時期に来ているのではないでしょうか。

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司法書士 野田啓紀
司法書士 野田啓紀
遺言書、家族信託、成年後見制度などを活用した相続対策、認知症対策を専門とする司法書士です。相続登記や遺産承継業務のような死亡後の相続の事務手続だけではなく、生前での相続や事業承継への対応に、適切な助言をいたします。