相続・遺言

相続登記を放置すると詰んでしまう理由

お亡くなりになったら、相続登記はお早めに。

これは、別に私ども司法書士のメシのために言っているだけではありません。もちろん、そのためでもありますが。

数年間にわたり、相続の登記をされないまま放置されますと、やっかいな問題がいくつも起こります。

公的な証明書が集めにくくなる

お亡くなりになった方の戸籍や住民票などの公的な証明書は、役場ごとに、保存期間が定められています。

特に、住民票や戸籍の附票は、5年間と短く、廃棄されてしまうと、亡くなった方の最後の住所を証明する資料を取得することができず、手続が複雑になります。そのために手続費用も高くなってしまいます。

相続人が増える

不動産を所有する夫が亡くなり、相続登記をしないまま数年間、放置しました。

その後、妻が亡くなり、長男も亡くなりました。

ある日、長女が、父母が暮らしていた実家を売却しようとして、登記簿を見たところ、まだ亡くなった父名義のままであることに気がつきました。

不動産屋さんから、まずは相続登記をしなければ、売ることができないと助言され、相続関係を調査しますと、生き残っている長女と二男のみではなく、長男の嫁(嫁A)、長男の子(孫B)にも手続に協力を求めなければなりません。

相続が起こってから数年後に、他人である長男の嫁らに協力を求めることは、なかなか難しいことがあります。信頼関係が継続していればともかく、長男の生前から折が合わなかったときには、解決に時間がかかってしまいます。

また、協力が得られなければ、裁判の手続を利用することになります。

認知症による資産凍結

不動産を所有する夫が亡くなり、相続登記をしないまま数年間、放置しました。

その間に、妻が認知症になり、それなりに進行しています。

そのため、亡夫の相続財産について、分け方や取り分を話し合う遺産分割の手続をすることが難しくなりました。

このままでは、相続財産を分けて、相続登記を進めることができません。

解決する方法は、ふたつあります。

ひとつめは、認知症の妻も亡くなるのを待って、遺産分割協議をすることです。ただし、これに伴うさまざまなリスクは、上で述べてきたことと共通します。

ふたつめは、妻に成年後見人をつける手続をして、成年後見人に代わりに話し合いに参加してもらうことです。

なお、成年後見人が参加する遺産分割協議は、家庭裁判所も関与し、家族の思うとおりの分け方が認められないこともあります。

また、ここでつけた成年後見人は、今回限りの仕事ではなく、妻が亡くなるまで、途中でやめることができず、報酬の支払いも含め、一生のお付き合いになることを理解する必要があります。

相続登記を放置することは、法的な問題や事実上の問題がいくつも起こります。登記の手続のみならず、空き家として放置されてしまえば、不動産としての価値も下がる一方で、時期を遅らせることに、なにひとつ良いことはありません。

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司法書士 野田啓紀
司法書士 野田啓紀
名古屋で相続、認知症対策専門の司法書士事務所を経営しています。人生100年時代を豊かに過ごせるように、老いの不安を解消し、想いに寄り添うコンサルティングに強みがあります。 遺言書、民事信託、成年後見制度などを組み合わせた相続、認知症対策のご提案をいたします。 当事務所では、相続登記や預貯金の解約のような死後の事務手続だけではなく、生前の相続、認知症、事業承継への対応に、適切な助言をいたしております。