相続・遺言

相続した土地を捨てたい

土地や建物を相続したけれど、自分では使う予定がないため、処分したいという相談は多くあります。

売れないにしても、引き取ってほしい、もらってほしい。管理することも煩雑で、とにかく手放したいというご希望です。

管理がされておらず、相続登記もされていないため、登記簿からは現在の所有者がわからなくなっている土地があふれかえっている大きな原因となっています。

自分のものなのに、自由に捨てられないのかという率直な疑問が出てまいります。雑誌やペットボトルならいらなくなれば、ゴミ箱へ入れます。一方で、生活家電や動物は、法律の規制があり、自由に捨てることができません。

土地については、現在、捨てるための手続がありません。

民法には、所有者のいない土地は、国のものになるとされていますが、この規定によって、好き勝手に捨てて、国に引き取ってもらうことまでできるのかどうかは、よくわかりません。

裁判例を見ますと、父名義の土地について、将来に自分にとって必要ではないため、父の存命のうちに生前贈与を受けたのち、その土地の所有権を放棄して、国に引き取ってもらう旨の訴訟が提起されましたが、財産的価値の乏しい土地の管理費用や責任を国に押し付けようとするもので、権利濫用等に当たり無効であると判断されました。(広島高裁松江支部平成28年12月21日判決)

所有者が必要ないと判断した土地を、このまま放置することは、国にとっても損失です。法制審議会では、土地の所有権放棄について、検討が進められています。

このポイントとして、放棄の要件・効果、放棄された土地の帰属先機関とその財政的負担、土地所有者が将来放棄するつもりで土地の管理をしなくなるモラルハザードの防止方法があげられています。

好き勝手に捨てられるようにしても、これを処分したり管理したりするには、税金がかかります。無制限に国が引き取るわけにもいかないと考えます。自分のものは、自分の責任で後始末をしなければなりません。

実際に、土地を手放したいような場面は、相続のときがもっとも多いのではないかと予想します。しかし、相続が開始してしまえば、元の持ち主は鬼籍に入っており、問いただすこともできません。

土地や建物は、生きているうちに、元気なうちに、目処をつけておきましょう。

子どもたちが受け継いでくれるなら、しっかり受け取ってもらえるように、遺言書を作成しておきます。子どもたちには必要ないものであれば、生前に処分をすることをおすすめします。

売れない、価値の低い土地であるからこそ、もらい手が見つかるまでに時間がかかります。狭小な土地であっても、隣接する土地の所有者と調整をして、一帯をまるごと売却することができれば、思わぬ高価値となることもあります。

また、空き地ならともかく、自宅を生前に処分することが難しいと考える方もあるかもしれませんが、今は、リースバックやリバースモーゲージといった方法もあります。

子どもの世代に、負の遺産を残さないように、早めの準備が大切です。

空き地や空き家、いらない土地の活用については、専門家を交えて相談にのりますので、お問い合わせください。

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司法書士 野田啓紀
司法書士 野田啓紀
名古屋で相続、認知症対策専門の司法書士事務所を経営しています。人生100年時代を豊かに過ごせるように、老いの不安を解消し、想いに寄り添うコンサルティングに強みがあります。 遺言書、民事信託、成年後見制度などを組み合わせた相続、認知症対策のご提案をいたします。 当事務所では、相続登記や預貯金の解約のような死後の事務手続だけではなく、生前の相続、認知症、事業承継への対応に、適切な助言をいたしております。