雑感

政治連盟からの脱退の可否について思う

東北税理士会に所属している税理士が、宮城県税理士政治連盟からの脱退をめぐり、争っているとの新聞記事を目にしました。われわれ司法書士にも政治連盟という組織があり、よく似た問題を含んでおりますので、自分の意見をここに表明いたします。

政治連盟とはなにか

われわれ司法書士は、法令に基づき、登録をして、司法書士会に所属しなければ、その業務を行うことができません。司法書士会は、強制加入団体であり、所属する会員の思想信条の自由を侵害するおそれのある政治活動については、これをするべきではないと考えられています。

一方で、司法書士の地位の向上や職域の拡充をはかるためには、法律の改正が必要であり、これを実現するためには、政治にはたらきかけをしなければなりません。

わかりやすく言えば、政治家に対して陳情をし、選挙の応援をしたり、パーティー券の購入や政治献金をしたり等のロビー活動をすることです。このために、司法書士会とは別に政治連盟という組織を立ち上げ、この団体が司法書士会とは独立別個に政治活動をすることで、上述の問題点を回避しているという説明がされております。

弁護士、公認会計士、行政書士等も同様に、強制加入団体とは別に、政治連盟という組織をつくっておられます。

強制加入団体と政治活動

先程述べたように、士業として業務を行うためには、団体に所属することが法定されております。かつては、税理士会が、特定の政党に対して政治献金をしたことが、その目的外の行為とされたほか、政治団体に対して寄附をするかどうかを、多数決原理によって決定し、構成員にその協力を義務付けることはできないと示されております。(いわゆる南九州税理士会事件、最判平成8年3月19日民集第50巻3号615頁)

この点、司法書士会が特定の政策や法案に対して声明文を発信することがありますが、これについては賛否を含めて個々の会員の意見があるところであり、私個人の考えとしては、外部の方から一見して司法書士会員の総意とも受け止められるような形でメッセージを発信することにも慎重であるべきと考えております。

公益法人と政治団体に同時加入させる仕組みは問題視されており、厚生労働省は、医師会や歯科医師会などに対し、関係する政治団体の活動と区別するよう通知を出しているとのことです。法務省や国税庁は、これをどのように見ているのか、気になるところです。

政治連盟と入会・退会の問題

今回問題となっている宮城県税理士政治連盟では、税理士会の会員が、すなわち政治連盟の会員になるとの入会規定になっているほか、退会規定が整備されていないところが事の発端であると考えます。

私どもの所属する愛知県には、政治連盟として、日本司法書士政治連盟愛知会という組織があります。規約を確認したところ、入会や退会に関する規定はありません。組織に関する規定の中に、「本会は、愛知県司法書士会の会員をもって組織する。」と定められているのみです。このようなお粗末な規定ぶりでは、「入会した覚えがない」あるいは「身に覚えのない会費を請求された」という主張が会員から出てきたとしても不思議ではありません。

政治連盟からは、定期的に「会費納入のお願い」と題するファクシミリが送信されてくるうえ、それには会費の納入率が低い点についても触れられております。

私とて、入会した覚えはありません。会費を請求する以前に、「入会のお願い」ならまだわかりますが、入会していない団体から、会費の請求をされるのは不快であり、「オレオレ詐欺」の如く架空請求であると反論したいところです。有志を募って、債務不存在確認訴訟でも起こしてみようかと思っております。

日本国憲法第21条が保障する集会・結社の自由には、入会・脱退することの自由が含まれます。本人の意思に関係なく、知らないうちに政治団体に加入させ、また、脱退をさせないような対応は、憲法違反との批判がなされてもやむを得ないのではないでしょうか。

なぜ、入会・退会の規定を整備されないのか、理解できません。

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司法書士 野田啓紀
司法書士 野田啓紀
名古屋で相続、認知症対策専門の司法書士事務所を経営しています。人生100年時代を豊かに過ごせるように、老いの不安を解消し、想いに寄り添うコンサルティングに強みがあります。 遺言書、民事信託、成年後見制度などを組み合わせた相続、認知症対策のご提案をいたします。 当事務所では、相続登記や預貯金の解約のような死後の事務手続だけではなく、生前の相続、認知症、事業承継への対応に、適切な助言をいたしております。